唐津では現代でも、薪窯が多く使われています。古窯との大きな違いとして古くは集団で使用する協同の窯だったものが、現在では少人数での使用が一般的になり、制作において個人の意図が反映されやすくなったことが言えます。

整地技術の発達、耐火煉瓦などの窯材料、棚板・温度計など窯道具の充実により、熱効率のいい窯が個人でも作成できるようになりました。他の種類の窯、電気・ガスなど近代の窯業用のものを個人で使う人も多くいますが、薪窯ならではの雰囲気=他に変えがたいその魅力によって、敢えてそれを使う作り手は根強く存在しています。

 



窯の構造  (参考:龍乃介窯/佐賀大学窯芸教室)

    登り窯の部位は、燃焼室(胴木間)、焼成室(一の間、二の間…)、煙道、煙突からなり、それぞれの使用目的によって、構造が変化する。窯の中の熱効率をよくするには、焔の循環と断熱が重要である。炉内の温度は、部分的には1200度を超えてくるので、部位によって耐熱性も必要とされる。窯焚きの目的はそこで焼成される焼き物だが、適した場所に適した素材を使うことで、燃焼効率の良い登り窯を築く事ができる。

  1. 基礎
    窯を築く基礎は、しっかりした整地と水はけの良さが必要となる。自然の地形を用いる場合もあるが、石やコンクリートによる整地も一般的である。 本体の傾斜は12〜15度くらいが適切である。

  2. レンガ積み
    昔の窯は塗り壁式であったが、現在は熱効率や耐火性のいいレンガが入手できる。部位による耐火性、形状、積むときの目地を揃えないようにするなど、いくつか注意が必要となる。

    焚口やアーチなど、変形のパーツが必要な部分は規格品の購入や、レンガの加工を行う。
    レンガの接着は、火の強い内側は耐火モルタル、外側には赤土を使用する。
    1.窯床:基礎の上に厚く上部に作る。
    2.壁:全体の大きさによって厚みが変化する。
    3.天井:アーチ状にする場合、内面の形に木型をつくり、そこにかぶせる形でレンガを積んでいく。
    4.煙突:穴の断面積と、高さが焔の引きを変化させるので、窯の規模に応じた太さ・高さの設定が必要。

  3. 用語解説
    1.ロストル(吸い込み口)
    正面焚口の下部、胴木間の床の前部分に作られる空気の入り口。窯焚きの際にどの程度開けておくかによって、雰囲気を温度の上がりをコントロールできる。
    2.通焔光
    狭間(さま)・温座の巣(おんざのす)とも言う。
    部屋のあいだの焔の通り道。
    中央を狭く外を広く取ると、火の回りが均等になる。
    3.焚口
    各部屋の入り口もかねる、薪の投入口。巨大な窯では左右に設けられることもある。

    火床
    各部屋での薪の燃焼部分。器を焼く窯床とは段差を持っているのが一般的。
    4.耐火レンガ
    高熱に耐える規格品のレンガ(耐熱温度はSK+数字で表される)
    5.トンバイ
    古くから築炉用のレンガのことをさすが、耐火煉瓦と区別する場合は加工のし易い密度の低いものをさす。
     
    出典:佐賀大学「ひと・もの作り唐津」プロジェクト唐津の窯と焼物
       ―古窯と陶片、現代の窯と焼物―
    協力:濱田龍之介(龍乃介窯築炉記録 2011年度 卒業制作)
       佐賀大学「ひと・もの作り唐津」プロジェクト
       田中右紀教授、吉永和正(有田築炉)、橋本一成、城雅典、瀬戸口朗子